団体交渉申入書が届いた場合の対処法について弁護士が解説

  • 団体交渉、労働組合対応
団体交渉申入書が届いた場合の対処法

団体交渉についての相談例

①契約社員を雇止めしたら、労働組合から団体交渉申入書が届いた。

②休職中の従業員に対して自動退職の通知をしたら、労働組合から団体交渉申入書が届いた。

③横領が発覚したため、懲戒解雇したら、労働組合から団体交渉申入書が届いた。

④労働組合から団体交渉申入書が届き、未払残業代を請求されている。

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団体交渉申入書とは?

 団体交渉申入書とは、労働組合による団体交渉の申入れや労働者・労働組合の要求事項等が記載された書面です。

 労働組合には、様々な形態がありますが、会社に労働組合がなくても、ある日突然、従業員(元従業員)が外部の労働組合に加入したことを理由に、労働組合から団体交渉申入書が届くことがあります。

労働組合の形態:

①職業別組合

②産業別組合

③一般労組

④企業別組合

⑤地域労組(合同労組)

団体交渉申入書を放置するリスク

1 不当労働行為のリスク 

 まず、労働組合には団体交渉権が保障されており、正当な理由がないにもかかわらず団体交渉を拒否することは、不当労働行為として禁止されています(労働組合法7条2号)。そのため、正当な理由がなく団体交渉申入書を放置すると、不当労働行為と認定されるリスクがあります。労働組合が不当労働行為と考えれば、労働委員会に対して救済申立てを行います。

2 労働問題の深刻化

 また、労働組合による団体交渉に適切に対応することによって、労働問題を解決できる場合もあります。もし団体交渉申入書を放置する場合、労働審判や労働裁判に発展したり、予期しないリスクが発生する場合もあります。労働問題が深刻な場合、労働基準監督署による介入によって行政処分(是正勧告等)や刑事上のリスクも生じかねません。つまり、団体交渉申入書を放置すると、労働問題の解決の機会を逃し、企業に重大な不利益(リスク)を発生させることもあります。

3 企業の信用や評判の低下

 さらに、労働組合の性格によっては、団体交渉申入書を放置する場合、事業場付近におけるビラ配布、街宣活動や取引先に対する苦情申入れを行う過激な労働組合もあり、企業の信用や評判の低下につながることもあります。

 以上のとおり、団体交渉申入書を放置することは、企業経営にとって得策ではなく、まずは労働組合との団体交渉によって労働問題の解決を図ることができないか、選択肢の一つとして前向きに検討すべきです。

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団体交渉申入書への対応ポイント

1 労働組合を過度に怖がらず、労働トラブルの解決に向けて協議する。

 ある日突然、外部の労働組合から団体交渉申入書が届くと、もちろん不安な気持ちになりますし、団体交渉に応じる必要があるのかという心情になることは理解できます。特に、問題社員(モンスター社員)との労働トラブルでは、このような気持ちが強くなると思われます。

 ただ、団体交渉によって労働問題を解決できるケースも数多くあり、団体交渉を拒否すると、労働問題を解決するという機会(チャンス)を逃すことになります。

 そのため、労働組合を過度に怖がらず、労働トラブルの解決に向けて協議するという姿勢が大切です。

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2 不当労働行為といわれないように対応する。

 もちろん、労働組合の要求事項を受け入れる義務はありません。ただ、団体交渉を正当な理由なく拒否したり、誠実に交渉しない場合、不当労働行為と言われる可能性があります。不当労働行為と言われてしまうと、労働委員会に救済命令が申し立てられたり、労働委員会によって救済命令が発令されることがあります。

 団体交渉申入書には、不当労働行為といわれないように対応する必要があり、労働組合法を中心とする労働法の知識や経験が必要となります。

3 団体交渉申入書の内容を十分に精査し、検討する。

 団体交渉申入書には、労働組合の要求事項が記載されており、団体交渉申入書の内容を十分に精査し、検討することによって、労働組合の目的・戦略や考え方を把握することができます。

 これによって、団体交渉にどのように対応すべきか、また、落としどころ(解決策)を検討することができます。

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弁護士による団体交渉対応

 多くの会社経営者や役員の方にとって、団体交渉を経験した人は少なく、また、団体交渉の準備・参加について、心理的にも物理的にも過度な負担がかかります。

 そのため、紛争・訴訟や労働法に精通する弁護士に団体交渉対応を依頼することによって、経営者の皆様の負担を軽減し、団体交渉を有利に進め、労働問題の適切な解決を目指すことができます。

 労働問題を深刻化させないためにも、団体交渉申入書を受け取ったら、早めに労働法の専門家である弁護士に相談することを検討ください。

弁護士によるサポート内容:

①労働組合との窓口対応

②団体交渉申入書に対する回答書の作成

③団体交渉への立会・参加

④団体交渉の準備・資料作成サポート

⑤和解書(合意書)の作成

⑥団体交渉に向けたアドバイス

⑦不当労働行為の対応

団体交渉、労働組合対応について弁護士が解説

団体交渉・団体交渉申入書については弁護士にご相談ください

 弁護士法人かける法律事務所では、顧問契約(企業法務)について、常時ご依頼を承っております。企業法務に精通した弁護士が、迅速かつ的確にトラブルの解決を実現します。お悩みの経営者の方は、まずは法律相談にお越しください。貴社のお悩みをお聞きし、必要なサービスをご提供いたします。

 顧問契約では、問題社員対応、未払い賃金対応、ハラスメント対応、団体交渉・労働組合対応、労働紛争(解雇、残業代、ハラスメント等)等の労働問題対応を行います。



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Last Updated on 2023年12月14日 by roumu-osaka.kakeru-law

この記事の執筆者

弁護士法人かける法律事務所 
代表弁護士 細井大輔

弁護士法人かける法律事務所では、経営者の皆様に寄り添い、「できない理由」ではなく、「どうすれば、できるのか」という視点から、日々挑戦し、具体的かつ実践的な解決プランを提案することで、お客様から選ばれるリーガルサービスを提供し、お客様の持続可能な成長に向けて貢献します。

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