<トピック>労働法研究会「配置転換をめぐる法的問題」を開催しました

弁護士法人かける法律事務所では、企業の労務課題に対して、より質の高い法的サービスを提供するため、定期的に「労働法研究会」を開催しています。
労働法令や裁判例、企業実務上の課題を題材として弁護士間で検討・議論を行い、労働法務に関する知見を事務所全体で共有・蓄積する取組みです。
2026年9月30日には、「配置転換をめぐる法的問題」をテーマとして、労働法研究会を開催しました。
テーマ:配置転換をめぐる法的問題― 配転命令・職種限定合意・配転拒否と解雇 ―
主な研究内容
1.配置転換命令権の根拠と限界
2.配置転換が権利濫用として無効となる場合
3.育児・介護・健康状態など従業員の事情と配置転換
4.職種限定合意と専門職の配置転換
5.最高裁令和6年4月26日判決(滋賀県社会福祉協議会事件)と企業実務への影響
6.配置転換を拒否された場合の懲戒処分・解雇
7.配置転換を命じる前・拒否された後に企業が行うべき実務対応
配置転換をめぐる裁判例と企業の実務対応を検討しました
配置転換は、人員不足への対応、組織再編、人材育成、従業員の適性に応じた人員配置など、企業を運営するうえで重要な人事施策です。
一方で、就業規則に配置転換に関する規定があれば、会社が自由に配置転換を命じられるわけではありません。
今回の研究会では、配置転換に関するリーディングケースである東亜ペイント事件をはじめとする裁判例を取り上げ、
・配置転換について業務上の必要性があるか
・対象となる従業員の選定に合理的な理由があるか
・不当な動機・目的がないか
・育児、介護、健康状態、通勤などについて、従業員に著しい不利益が生じないか
・職種や勤務地を限定する合意がないか
など、企業が配置転換を検討する際の判断ポイントについて議論しました。
また、育児・介護や本人・家族の健康状態などの事情がある場合に、どのような事情を確認し、会社としてどのような配慮・負担軽減策を検討すべきかについても、裁判例を踏まえて検討しました。
職種限定合意と専門職の配置転換についても検討しました
今回の研究会では、最高裁令和6年4月26日判決(滋賀県社会福祉協議会事件)についても検討しました。
この判決では、職種及び業務内容を特定のものに限定する合意がある場合、使用者は、労働者の個別的同意なしに、その合意に反する配置転換を命じる権限を有しないことが示されています。
そのため、専門職や特定の職種を前提として採用した従業員を別の職種へ配置転換する場合には、異動の必要性だけでなく、そもそも会社にその配置転換を命じる権限があるのかを確認する必要があります。
研究会では、雇用契約書・労働条件通知書だけでなく、求人票、採用時の説明、専門資格、これまでの勤務実態なども踏まえ、明示・黙示の職種限定合意の有無をどのように判断すべきかについて議論しました。
配置転換を拒否された後の対応も重要です
さらに、配置転換を従業員から拒否された場合の対応についても、複数の裁判例を比較しながら検討しました。
配置転換命令自体が有効であっても、その命令を拒否したことを理由とする懲戒処分・解雇が当然に有効になるわけではありません。
本人に配置転換の必要性や条件を説明したか、拒否する理由を確認したか、必要な配慮を検討したか、再検討・翻意の機会を与えたかなど、配置転換を拒否された後に会社がどのような対応を行ったかも重要となります。
今回の研究会では、配置転換を命じる前の法的検討だけでなく、従業員への説明、事情聴取、協議、配慮の検討、業務命令・警告、記録の残し方など、実際の企業対応まで含めて検討しました。
研究会を通じて、企業労務に関するサービス品質の向上に取り組んでいます
労働問題は、法令や裁判例の知識だけで結論が決まるものではありません。
配置転換についても、労働契約の内容、配置転換の目的・必要性、対象者の選定理由、従業員に生じる不利益、これまでの会社の運用、本人への説明・対応など、具体的な事実関係を踏まえて判断することが重要です。
かける法律事務所では、個々の弁護士の知識や経験だけに依存するのではなく、研究会を通じて裁判例や企業実務上の論点を共有・検討することで、事務所全体として専門性を高め、継続的なサービス品質の向上につなげています。
今後も、企業が直面する労務課題について継続的に研究・議論を行い、労働トラブルの予防から発生後の対応まで、企業の実情に応じた実践的な法的支援を提供してまいります。
かける法律事務所の労務サポート
かける法律事務所では、配置転換をはじめ、問題社員対応、解雇・退職勧奨、休職・復職対応、ハラスメント対応、就業規則の整備、労働審判・訴訟対応など、企業側の労働法務を幅広くサポートしています。
配置転換についても、異動を命じる前の法的リスクの検討から、従業員への説明、配転拒否があった場合の対応、懲戒処分・解雇を検討する場合の対応まで、具体的な状況に応じてサポートしています。
配置転換や配転拒否への対応をはじめ、労務トラブルの予防・対応についてお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
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