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大阪の弁護士による企業労務相談 > 企業労務コラム > 製造現場で従業員同士のトラブルが発生したら?会社が行うべき初動対応と5つのポイント

製造現場で従業員同士のトラブルが発生したら?会社が行うべき初動対応と5つのポイント

はじめに

製造現場では、同じメンバーが長期間一緒に働くことが多く、業務の進め方、役割分担、指導方法、仕事への考え方などをめぐって、従業員同士の関係が悪化することがあります。

例えば、

  • 従業員同士が職場で激しく口論した
  • ベテラン社員と若手社員の関係が悪化している
  • 一方の従業員から「ハラスメントを受けている」と相談された
  • 当事者双方の言い分が食い違っている
  • 本人同士では解決できず、周囲の従業員にも影響が出ている

といったケースです。

こうしたトラブルが起きたとき、会社として重要なのは、その場で急いで結論を出すことではありません。

初動対応を誤ると、当事者間の対立がさらに深まり、ハラスメント申告、メンタル不調、休職、退職、労働審判や訴訟などの労務紛争へ発展する可能性があります。

本稿では、製造現場で従業員同士のトラブルが発生した場合に、会社や管理職が行うべき初動対応について、5つのポイントに分けて解説します。

従業員同士のトラブルを放置してはいけない理由

職場の人間関係の問題について、

「大人同士なのだから、本人たちで解決してもらえばよい」
「少し様子を見れば、そのうち落ち着くだろう」

と考えてしまうことがあります。

しかし、職場トラブルは、時間が経てば自然に解決するとは限りません。

むしろ、対応しないまま放置することで、

従業員同士の対立
↓
不満・ストレスの蓄積
↓
ハラスメントの申告・欠勤・メンタル不調
↓
休職・退職・労務紛争

という形で問題が深刻化することがあります。

特に製造現場では、チームで協力して業務を行う場面も多いため、一部の従業員間の対立が、情報共有の停滞、業務効率の低下、職場全体の雰囲気の悪化につながることもあります。

管理職が問題を把握した場合には、「本人同士の問題」として放置せず、早い段階で状況を確認することが重要です。

ポイント ① まず問題を拡大させない

当事者が感情的になっている状態で話し合いを続けると、言動がさらにエスカレートすることがあります。

例えば、従業員同士が口論になっている場合、その場で、

「二人とも落ち着いて話し合ってください」
「お互い言いたいことを全部言ってください」

などと話し合いを続けさせることが、必ずしも適切とは限りません。

状況に応じて、

  • いったん話を中断する
  • 当事者を離す
  • 時間を置いてから事情を聞く
  • 必要に応じて他の管理職にも対応を依頼する

など、まず冷静に対応できる状況をつくります。

初動対応で重要なのは、その場で問題を解決することよりも、これ以上問題を大きくしないことです。

ポイント ② その場で「どちらが悪い」と決めつけない

トラブル発生直後には、一方の従業員から、

「以前からずっと嫌がらせを受けていた」
「あの人のパワハラです」

などと申告されることがあります。

相談を受けた管理職としては、本人の話を丁寧に聞く必要があります。

一方で、その話だけを聞いて、

「それはパワハラですね」
「相手が悪いですね」

とその場で結論を出すことは適切ではありません。

反対に、

「相手にも悪気はないでしょう」
「あなたにも原因があるのではないですか」

などと相談者の話を軽く扱うことも問題です。

相談を受けた段階では、まだ事実関係が明らかになっていないこともあります。

相談者の話を尊重しつつ、予断や偏見を持たずに事実を確認することが重要です。

ポイント ③ 双方から事情を聞き、客観的な資料も確認する

従業員間トラブルでは、当事者双方の認識が大きく異なることがあります。

例えば、一方は、

「毎日のように強く責められていた」

と主張していても、もう一方は、

「仕事上必要な注意をしただけだ」

と説明することがあります。

このような場合、会社としては、まず「何が起きたのか」を整理する必要があります。

具体的には、

  • いつ、どこで、何があったのか
  • どのような言動があったのか
  • その前後にどのような経緯があったのか
  • 同様の出来事が過去にもあったのか

などを、できるだけ具体的に確認します。

その際には、事実と本人の意見・評価・受け止めを区別することが重要です。

また、当事者の説明だけでなく、

  • メール
  • チャット
  • 勤怠記録
  • 業務記録
  • 日報
  • その他の社内資料

など、客観的に確認できる資料があれば、事実関係の整理に活用します。

必要に応じて、口論や問題となった言動を見聞きした他の従業員から事情を確認することもあります。

ただし、管理職が独断で本格的な調査を完結させるのではなく、事案の内容によっては人事部門や会社として調査体制を整えることが必要です。

ポイント ④ 初動対応の記録を残す

労務紛争が発生した後に、会社として問題になりやすいのが、

「誰が、いつ、何を把握し、どのように対応したのか分からない」

という状態です。

例えば、後になって従業員から、

「以前から上司に何度も相談していたのに、会社は何も対応してくれなかった」

と主張された場合、会社側に相談記録や対応記録がなければ、当時どのような対応をしていたのか説明することが難しくなります。

そのため、管理職が重要な相談やトラブルを把握した場合には、

  • いつ・誰から相談を受けたのか
  • どのような事実を聞いたのか
  • どのような対応を行ったのか
  • 誰に報告・相談したのか

など、必要な範囲で記録を残しておくことが重要です。

記録は、会社のためだけではありません。

適切な記録を残すことは、相談者だけでなく、対応した管理職自身を守ることにもつながります。

ポイント ⑤ 管理職だけで抱え込まず、会社として対応する

管理職の重要な役割は、職場で起きている問題に早く気づき、初動対応を行うことです。

しかし、すべての問題を管理職自身が解決する必要はありません。

特に、

  • ハラスメントの申告がある
  • 当事者双方の言い分が大きく食い違っている
  • 従業員が退職や休職を示唆している
  • トラブルが長期間続いている
  • 懲戒処分や配置転換などを検討する可能性がある

といった場合には、管理職だけで判断せず、会社として対応することが重要です。

会社として事実関係を確認した上で、

  • 当事者への注意・指導
  • 業務分担の見直し
  • 配置や職場環境の調整
  • ハラスメントの事実調査
  • 必要に応じた懲戒処分
  • 再発防止策

などを検討します。

ここで重要なのは、「とにかく二人を離せばよい」「どちらかを異動させればよい」と安易に結論を出さないことです。

配置転換や懲戒処分などの人事措置には、それぞれ法的な留意点があります。

事実関係と問題の程度を踏まえて、適切な対応を選択する必要があります。

初動対応で会社が避けたい対応

従業員間トラブルへの対応では、「早く問題を終わらせたい」という気持ちから、かえって問題を大きくしてしまうことがあります。

例えば、

  • 「本人同士で話し合ってください」と当事者だけに任せる
  • 双方の話を聞かず、一方が悪いと決めつける
  • 「大したことではない」と問題を軽く扱う
  • その場で「パワハラだ」「処分する」と約束する
  • 管理職だけで問題を抱え込み、会社への報告が遅れる

といった対応には注意が必要です。

また、「お互い様だから、二人とも謝って終わりにしましょう」と形式的に収束させても、当事者の不満が残っていれば、後になって問題が再燃することがあります。

早く終わらせることより、適切な手順で対応することが重要です。

弁護士に早めに相談した方がよいケース

すべての職場トラブルについて、直ちに弁護士へ相談する必要があるわけではありません。

しかし、次のような場合には、問題が深刻化する前に弁護士へ相談するメリットがあります。

  • ハラスメントの申告があった
  • 当事者双方の言い分が大きく食い違っている
  • 事実調査の方法が分からない
  • 従業員が休職・退職・損害賠償請求などを示唆している
  • 配置転換や懲戒処分を検討している
  • 会社や管理職の対応について責任を追及されている
  • すでに労働組合や代理人弁護士から連絡が来ている

労務問題では、問題が大きくなった後よりも、会社として取り得る選択肢が残っている早い段階で相談する方が対応しやすいことが少なくありません。

特に、事実調査や当事者への説明、懲戒処分等を行った後では、後から対応を修正することが難しい場合があります。

製造業の労務トラブルは、かける法律事務所へご相談ください

弁護士法人かける法律事務所では、製造業をはじめとする企業の人事・労務問題について、トラブル発生時の初動対応から、その後の解決・再発防止までサポートしています。

従業員間トラブル・ハラスメント発生時の対応

例えば、

「従業員同士が職場で激しく対立している」
「一方からハラスメントの申告があった」
「双方の言い分が食い違い、事実関係をどのように確認すべきか分からない」
「注意・指導、配置転換、懲戒処分等をどこまで行ってよいか判断できない」

といったケースについて、企業側の立場から対応を検討します。

具体的には、

  • 初動対応に関する助言
  • 事実関係の整理・調査方法の検討
  • 当事者・関係者へのヒアリング方法の助言
  • ハラスメント該当性の検討
  • 注意・指導、配置転換、懲戒処分等の人事対応
  • 従業員や代理人弁護士への対応
  • 再発防止策の検討

など、事案の状況に応じたサポートが可能です。

トラブルを防ぐための管理職研修

また、問題が発生した後の対応だけでなく、管理職向けのハラスメント・労務トラブル予防研修にも対応しています。

実際の企業相談や労務紛争の経験を踏まえ、

  • 職場トラブルの兆候への気づき方
  • 部下から相談を受けた際の対応
  • 業務指導とハラスメントの境界
  • トラブル発生時の初動対応
  • 記録・報告のポイント

など、管理職が現場で実践できる内容を中心に研修を行います。

まとめ

製造現場で従業員同士のトラブルが発生した場合、会社として重要なのは、その場で急いで解決することではありません。

まず問題を拡大させず、当事者双方から事情を聞き、客観的な資料も確認しながら、事実関係を整理する必要があります。

そして、管理職だけで抱え込まず、必要に応じて会社として調査や人事上の対応を検討することが重要です。

特に、

  1. 問題を拡大させない
  2. その場で結論を出さない
  3. 客観的に事実を確認する
  4. 記録を残す
  5. 会社として対応する

という5つのポイントを意識することで、トラブルの深刻化を防ぎやすくなります。

従業員同士のトラブルは、初動対応によってその後の展開が大きく変わります。

ハラスメントの申告、従業員間の対立、事実調査、配置転換や懲戒処分など、会社としての対応方針に迷っている場合には、問題が深刻化する前に弁護士法人かける法律事務所へご相談ください。

初動対応から事実調査、人事対応、紛争解決、再発防止まで、企業側の立場からサポートします。

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代表弁護士 細井 大輔

私は、日本で最も歴史のある渉外法律事務所(東京)で企業法務(紛争・訴訟、人事・労務、インターネット問題、著作権・商標権、パテントプール、独占禁止法・下請法、M&A、コンプライアンス)を中心に、弁護士として多様な経験を積んできました。その後、地元・関西に戻り、関西の企業をサポートすることによって、活気が満ち溢れる社会を作っていきたいという思いから、2016年、かける法律事務所(大阪・北浜)を設立しました。弁護士として15年の経験を踏まえ、また、かける法律事務所も6年目を迎え、「できない理由」ではなく、「どうすれば、できるのか」という視点から、関西の企業・経営者の立場に立って、社会の変化に対応し、お客様に価値のあるリーガルサービスの提供を目指します。

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