労働契約(雇用契約)とは
労働契約法6条では、労働契約を「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」とされています。
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労働契約(雇用契約)の特徴
①労働者と使用者との間の合意であること
②労働者が使用者の指揮命令に従って労務を提供する義務を負うこと
③使用者が労務提供に対する対価として賃金を支払うこと
労働契約書(雇用契約書)を作成する法的な義務があるか?
労働契約は、口頭で成立するとされており、労働契約書の作成は必ずしも必須とされていません。これを、「諾成契約」といいます。
もっとも、労働基準法15条1項では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」とされており、使用者に対して労働条件の明示義務を定めています。この労働条件の明示義務を遵守するため、実務的には、労働条件通知書が作成され、労働者に対して交付されることが一般的です。
このように実務的には、労働契約書(雇用契約書)を作成せず、労働条件通知書のみを作成する使用者(企業)も多いのではないでしょうか。
労働条件通知書では不十分?
法的には、労働契約書(雇用契約書)を作成する法的義務はなく、労働条件通知書でも足りるという考え方も、もちろんあります。
もっとも、労働条件通知書では、労働者から労働条件通知書を受け取っていないと言われたり、一方的に労働条件を不利に変更されたと言われ、事後的にトラブル・紛争になることもあります。
つまり、労働条件通知書では、労働者側が企業が通知する労働条件を受諾したか(同意したか)どうか不明となることもあります。
そのため、労働条件通知書を作成していれば、企業(使用者)としては、必ずしも問題ないとはいえず、労働契約書(雇用契約書)の作成を検討する必要があります。
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労働契約書(雇用契約書)を作成するメリット
労働契約書(雇用契約書)は、法的に作成が義務づけられるものではないですが、労働トラブルや紛争を未然に回避し、労働者(従業員)が安心して業務に専念し、会社全体の生産性向上に貢献できるというメリットもあります。
メリット①ー労働者(従業員)の同意(合意)が明確になること
労働条件通知書では、事後的に労働条件通知書を受け取っていないとか、変更した労働条件の内容を同意(合意)していないというリスクがあります。このようなリスクを回避するためにも、労働契約書(雇用契約書)を作成するメリットがあります。
労働契約法4条2項でも、「労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。」とされており、労働契約書(雇用契約書)の作成を推奨しています。
メリット②ー労働者(従業員)に安心を提供すること
労働条件通知書と異なり、労働契約書(雇用契約書)の作成は、手間や費用が必要となりますが、労働条件の内容を確認しながら、合意形成に至るため、労働者に安心を提供する材料となります。
その結果、労働者は、より意欲的に業務を行い、業務に専念することが可能となります。結果として、業務の成果につながり、会社のビジョンや業績に貢献することができるようになります。
メリット③ー労働者(従業員)の満足度が向上し、パフォーマンスの向上が期待できること
労働契約書(雇用契約書)の作成は、労働者と使用者との協議に基づきながら、合意形成するため、労働条件通知書に基づく一方的な通知と異なり、労働者の満足度が向上し、更なるパフォーマンスの向上が期待できます。
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労働契約書(雇用契約書)の作成に際する注意点
労働契約書(雇用契約書)を作成するに際しては、以下の点に注意する必要があります。
注意点① 労働法に違反しないこと
労働契約(雇用契約)も契約(合意)であるため、原則として、使用者と労働者との間で自由に、その内容を決めることができます。
もっとも、実際は、労働契約(雇用契約)において、使用者と労働者との間で交渉力を含めて格差があり、労働者を保護するために、労働契約(雇用契約)に関連する法律によって一部規制を受けます。労働基準法13条でも、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」とされており、労働基準法に違反する労働条件を合意することはできません。
そのため、労働契約書(雇用契約書)を作成するに際しては、労働法に違反又は矛盾しないように注意しなければなりません。
労働契約(雇用契約)に関連する法律:
①民法
②労働基準法(労基法)
③労働契約法(労契法)
④労働組合法(労組法)
⑤雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(均等法)
⑥最低賃金法
*一般的に労働法と総称されることがありますが、労働法という名称の法律があるわけではありません。
注意点② 就業規則と矛盾しないこと
労働契約法12条では、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」とされており、就業規則に違反する労働条件を合意することができないとされています。
そのため、労働契約書(雇用契約書)を作成するに際しては、就業規則に違反又は矛盾しないように注意しなければなりません。
注意点③ 労働条件を変更するに際して、原則として労働者の同意が必要となること
労働契約法3条1項では、「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする」とされ、労働契約法8条では、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」とされており、労働条件を変更するに際して、原則として、労働者(従業員)の同意が必要となります。
労働契約書(雇用契約書)を作成するに際しては、労働者(従業員)から同意を得ることができるかどうかという視点も必要となります。
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弁護士による労働契約書(雇用契約書)に関連するサポート
弁護士は、労働契約(雇用契約)において、以下のサポートが可能です。労働法や紛争・訴訟対応に精通している弁護士だからこそ、できることが多くあります。
①求職情報のチェック
②労働条件通知書や労働契約書(雇用契約書)の作成・変更サポート
③就業規則や給与規定の作成・変更サポート
④従業員(労働者)又はその代理人(弁護士)との交渉・窓口対応
⑤労使交渉や労働組合との交渉におけるサポート
⑥労働裁判の代理人対応
雇用契約(労働契約)については弁護士にご相談を
弁護士法人かける法律事務所では、顧問契約(企業法務)について、常時ご依頼を承っております。企業法務に精通した弁護士が、迅速かつ的確にトラブルの解決を実現します。お悩みの経営者の方は、まずは法律相談にお越しください。貴社のお悩みをお聞きし、必要なサービスをご提供いたします。
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Last Updated on 2024年10月30日 by この記事の執筆者 代表弁護士 細井 大輔 この記事の監修者 弁護士法人かける法律事務所 弁護士法人かける法律事務所では、経営者の皆様に寄り添い、「できない理由」ではなく、「どうすれば、できるのか」という視点から、日々挑戦し、具体的かつ実践的な解決プランを提案することで、お客様から選ばれるリーガルサービスを提供し、お客様の持続可能な成長に向けて貢献します。 私は、日本で最も歴史のある渉外法律事務所(東京)で企業法務(紛争・訴訟、人事・労務、インターネット問題、著作権・商標権、パテントプール、独占禁止法・下請法、M&A、コンプライアンス)を中心に、弁護士として多様な経験を積んできました。その後、地元・関西に戻り、関西の企業をサポートすることによって、活気が満ち溢れる社会を作っていきたいという思いから、2016年、かける法律事務所(大阪・北浜)を設立しました。弁護士として15年の経験を踏まえ、また、かける法律事務所も6年目を迎え、「できない理由」ではなく、「どうすれば、できるのか」という視点から、関西の企業・経営者の立場に立って、社会の変化に対応し、お客様に価値のあるリーガルサービスの提供を目指します。
代表弁護士 細井大輔
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