フリーランス新法とは?労働法との関係性や適用範囲について、弁護士が解説します。

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フリーランス新法と労働法との関係性や適用範囲について、弁護士が解説します。

フリーランス新法でよくあるご相談

①フリーランス新法の概要やポイントを知りたい。

②業務委託社員にはフリーランス新法が適用されますか?

③フリーランスと労働者との違いについて、知りたい。

フリーランス新法とは?

フリーランス新法とは、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」の略称です。フリーランス・事業者間取引適正化等法とも呼ばれます。

フリーランス新法は、令和6(2024)年11月1日から施行されます。

フリーランス新法は、業種や業界の限定はなく、フリーランスとの間で業務委託取引を行うすべての企業が適用の対象です。

フリーランス新法は、①フリーランスと発注事業者との間の取引の適正化と②フリーランスの就業環境を整備することによって、フリーランスが安心して働ける環境の整備を目的としています。

フリーランス新法における発注事業者(企業)の義務や禁止行為とは?~労働法との類似点~

フリーランス新法では、取引の適正化の観点とフリーランスの就業環境の整備の観点から、発注事業者の義務や禁止行為を定めています。

特に、フリーランスの就業環境の整備について、労働法と類似する規制が導入されており、主に厚生労働省が執行を担います。

1.取引の適正化

①取引条件の明示義務(3条)

②期日における報酬支払義務(4条)

③発注事業者の禁止行為(5条)

2.就業環境の整備 → 主に厚生労働省が執行を担当する。

①募集情報の的確表示義務(12条)

②育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(13条)

③ハラスメント対策に係る体制整備義務(14条)

④中途解除等の事前予告・理由開示義務(16条)

*厚生労働省から、「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」(令和6年厚生労働省告示212号)から公表されています。

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フリーランス新法における発注事業者(企業)の就業環境の整備とは?

①募集情報の的確表示義務(12条)

広告などによって、フリーランスを募集する際、発注事業者には、以下の義務が生じます。

・虚偽の表示の禁止

・誤解を生じさせる表示の禁止

・正確かつ最新の表示義務

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②育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(13条)

発注事業者は、6か月以上の継続的業務委託の相手方であるフリーランスからの申出に応じて、フリーランス等が妊娠、出産、育児又は介護(以下「育児介護等」という。)と両立しつつ、当該委託業務に従事することができるように、フリーランス等の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をしなければなりません。

③ハラスメント対策に係る体制整備義務(14条)

発注事業者は、ハラスメントによってフリーランスの就業環境を害することがないように、ハラスメントへの相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じる必要があります。

体制整備の内容

・ハラスメントを行わない旨の方針の明確化・周知

・相談窓口の設置

・ハラスメント相談への迅速かつ適切な対応

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④中途解除等の事前予告・理由開示義務(16条)

・発注事業者は6か月以上の期間で行う業務委託について、契約を解除又は更新しない場合、30日前までに、その旨を予告する必要があります。

・予告日から契約終了までにフリーランスが解除理由の開示を請求した場合、発注事業者は、遅滞なく開示する必要があります。

フリーランス新法/労働法の適用の範囲―フリーランス/労働者の区別―

フリーランス新法では、形式的に業務委託契約を締結している者(フリーランス)であっても、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合には、労働基準関係法令が適用され、フリーランス新法は適用されないとされています。

つまり、フリーランス新法が適用されるフリーランス(個人事業主)なのか、それとも、労働法が適用される労働者なのか、形式的に判断するのではなく、実質的に判断する必要があります。

フリーランス(個人事業主)なのか、それとも、労働者なのか、以下の要素に従い、実質的に判断することになります(労働基準法の「労働者」の判断基準)。

判断基準のポイント

①仕事の依頼の諾否の自由

②業務遂行上の指揮監督

③時間的・場所的拘束性

④代替性

⑤報酬の算定・支払方法

フリーランス新法と労働法の注意点

これまでフリーランス(個人事業主)に対して、労働法の規制が適用されないことを理由に、就業環境の整備は、フリーランス(個人事業主)の責任であるという考え方について、再度見直しが生じてくることになります。

つまり、フリーランス(個人事業主)であっても、フリーランス新法の施行によって、労働法と類似する規制が発生します。

これまで労働法をしっかりと遵守していた企業でも、フリーランス新法における発注事業者の義務や禁止行為を理解し、フリーランス(個人事業主)との間で適切な取引を行うことができるように注意する必要があります。

その際、労働法の規制を参考に、これまで企業が労働者(従業員)に対応してきたことについて、フリーランス(個人事業主)に対して、どこまで近づけていくことができるのか検討することになります。

弁護士に依頼できるフリーランス新法への対応内容

①フリーランス新法に対応した取引条件のチェック・アドバイス

②フリーランス新法に対応した契約書類の作成サポート

③フリーランス新法に対応した就業環境の整備サポート

④フリーランスとのトラブル対応・代理交渉

⑤行政機関による調査対応サポート

⑥コンプライアンス研修(独占禁止法・下請法・フリーランス新法・労働法)

フリーランス対応やフリーランス(個人事業主)とのトラブルについては、弁護士法人かける法律事務所にご相談ください

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Last Updated on 2024年10月1日 by この記事の執筆者 代表弁護士 細井 大輔

この記事の監修者

弁護士法人かける法律事務所 
代表弁護士 細井大輔

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