ハラスメントとは?
ハラスメントには、多種多様なものがありますが、代表的なハラスメントを紹介します。
①パワーハラスメント(パワハラ)ー労働施策総合推進法
職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)は、A)職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、B)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、 C) 従業員の就業環境が害されるものをいいます。
②セクシュアルハラスメント(セクハラ)ー男女雇用機会均等法
職場におけるセクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、職場において行われる従業員の意に反する性的な言動に対する従業員の対応により、その従業員が労働条件につき不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されることをいいます。
③マタニティハラスメント(マタハラ)ー男女雇用機会均等法
職場におけるマタニティハラスメント(妊娠、出産等に関するハラスメント)とは、上司又は同僚から行われる以下のものです。
A)妊娠又は出産に関する制度又は措置の利用に関する言動により就業環境が害されるもの (制度等の利用への嫌がらせ型 )
B)その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したことその他の妊娠又は出産に関する 言動により就業環境が害されるもの(状態への嫌がらせ型)
④育児や介護に関するハラスメント(ケアハラ)ー育児介護休業法
育児や介護に関するハラスメント(ケアハラ)とは、上司又は同僚から行われる、 その雇用する労働者に対する制度等の利用に関する言動により就業環境が害されるものをいいます。
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ハラスメントによる弊害、デメリット
ハラスメントは、①被害者、②加害者及び③企業にとって、以下のような弊害やデメリットがあります。
①被害者
ハラスメント被害者の人格や尊厳を傷つけ、仕事への意欲や自信を喪失させ、メンタルヘルスや健康の悪化につながり、退職や離職につながる。
②加害者
社内における信用低下につながり、懲戒処分や損害賠償等の訴訟のリスクを抱えることになり、退職や離職につながる。
③企業
・従業員全体の労働意欲の低下
・本来的な業務に専念できなくなり、職場全体の生産性の低下
・職場環境の悪化
・離職率が増加し、優秀な人材が流出する。
・ブランディング(信用)の低下による新規採用への労力・コストの増加
・コンプライアンス違反による信用低下・売上減少
・ハラスメント対応の労力やコストの増加
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ハラスメント研修が必要となる理由
ハラスメントを規制する法律(労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法)では、ハラスメントに対する従業員の関心と理解を深めるとともに、他の従業員に対する言動に必要な注意を払えるようにするため、ハラスメント研修を実施するように努めなければならないとしています(努力義務)。
これは、ハラスメントの発生が、企業風土や職場のコミュニケーション関係に問題があったり、また、各従業員の意識・固定的な価値観に根本的な原因があるため、これらの原因を取り除くためには、ハラスメント研修が効果的かつ適切な方法といえるためです。
例えば、外部の第三者によるハラスメント研修を行えば、企業内に新しい風が流れ、企業風土の見直しにつながります。また、コミュニケーション方法を見直す機会にもなり、どのような取り組みが必要となるかという気づきにもなります。結果として、職場環境が改善され、各従業員の意識改善につながります。
実際、ハラスメントを行う社員の中には、その言動が問題であると知らなかったり(無自覚)、認識していない社員もいます。ハラスメントでは、意図的(故意)なものもありますが、うっかり・不注意によって引き起こされるケースも多くあります。
そのため、このような社員に対して、その言動が問題であることを理解させ、再発防止につなげるため、ハラスメント予防研修は有効かつ効果的です。
ハラスメント研修の類型・内容
対象者について
①経営者・役員・幹部向け
②管理職向け
③新任管理職向け
④一般社員向け
*研修の必要性や目的を分析し、ターゲットを検討します。
内容について
①ハラスメントとは何か?
②ハラスメントによる弊害、デメリット
③ハラスメント対策の必要性
④ハラスメントになる具体例/ハラスメントにならない具体例
⑤ハラスメントが生じる原因
⑥ハラスメントを防ぐための方法(対策)
⑦コミュニケーション対策
⑧ハラスメントが発生したとき、どう対応したらいいか?
*対象者によって、重点的に研修する内容・ポイントを検討します。
研修方法について
①講義形式
②対話形式/質疑応答形式
③グループディスカッション/グループワーク
④テスト/チェックリストの活用
⑤アンケート(事前/事後)
*研修の目的、規模又は参加人数に応じて、研修方法を検討します。
研修時間について
45分、60分、90分、120分
*研修の目的や研修方法に応じて、時間を検討します。短時間の研修でも、ポイントを押さえることで、効果的な研修が可能です。
弁護士にハラスメント研修を依頼するメリット
①外部講師(弁護士)による効果的な研修の実施
研修内容が素晴らしかったとしても、また、繰り返し研修を行ったとしても、研修参加者が耳を傾けなかったら、また、集中して受講していなければ、研修による効果は、あまりありません。
研修参加者がより熱心に研修を受講してくれるためには、外部講師に依頼することは効果的です。特に、従業員の皆様にとっては、直接、「弁護士」の話を聞く機会があまりないことも多く、弁護士による研修であれば、多くの従業員の方々が、「自分事」としてハラスメント研修に参加してくれるはずです。
②裁判例(実際に発生した事案)を踏まえたリスクの理解
弁護士は、労働法や紛争・訴訟対応に精通しており、ハラスメントのリスク内容や重大性について、裁判例を踏まえた具体的な解説が可能となります。裁判例(実際に発生した事案)をもとに研修を進めることで、研修に参加する従業員は、机上の空論ではなく、「自分事」として受け止めてもらえるはずです。また、裁判例を学ぶことは、一般教養や社会常識の習得にも役立ちます。
③企業の実情・ニーズを踏まえた研修の実施
弁護士に研修を依頼するとき、全く知らない弁護士に依頼するというよりも、顧問弁護士に依頼することが多くあります。顧問契約を締結していれば、継続的に企業の取引やトラブルに関するサポートを行っているため、企業の実情やニーズを十分に理解したうえで、研修を開催できます。
ハラスメント研修が必要とされる理由や具体的な問題状況は各企業によって異なるため、効果的なハラスメント研修を行うためには、企業の実情やニーズを踏まえる必要があります。
顧問契約によって継続的に弁護士のサポートを受けながら、ハラスメント研修を開催すれば、より効果的な、また、実際に意味のある研修を開催できます。
④研修だけでなく、紛争・トラブル対応や就業規則の作成対応も可能
ハラスメント研修はハラスメント予防が最も大切な目的ですが、実際にハラスメントに関する紛争・トラブルが発生している場合、弁護士であれば、紛争・トラブル対応も相談できます。
また、ハラスメント研修を通じて、就業規則の変更や会社方針の作成が必要であると考える場合、就業規則等の作成もサポート可能です。各法令で求められる「事業主が雇用管理上講ずべき措置の内容」について、是非ご相談ください。
ハラスメント研修については弁護士にご相談を
弁護士への相談例
①ハラスメント研修を開催したい。
②ハラスメント研修を含む再発防止策を検討したい。
③ハラスメント研修の内容を一緒に考えてほしい。
④ハラスメントのトラブルを解決したい。
弁護士法人かける法律事務所のハラスメント研修/コンプライアンス研修の実績
- 物流事業者向け「コンプライアンスから考える労務管理の重要性」(2016年)
- 訪問看護サービス事業者向け「コンプライアンス研修~リスクを回避し、質の高いサービスを目指す~」(2022年)
- 人材派遣会社向け「コンプライアンスの基礎を知る」、「情報漏洩のリスクを知り、回避する」、「リスク発生時の対応を考える」(2022年)
弁護士法人かける法律事務所では、顧問契約(企業法務)について、常時ご依頼を承っております。企業法務に精通した弁護士が、迅速かつ的確にトラブルの解決を実現します。お悩みの経営者の方は、まずは法律相談にお越しください。貴社のお悩みをお聞きし、必要なサービスをご提供いたします。
顧問契約では、問題社員対応、未払い賃金対応、ハラスメント対応、団体交渉・労働組合対応、労働紛争(解雇、残業代、ハラスメント等)等の労働問題対応を行います。
ハラスメント研修も引き受けていますので、是非一度お問い合わせください。
Last Updated on 2024年10月22日 by この記事の執筆者 代表弁護士 細井 大輔 この記事の監修者 弁護士法人かける法律事務所 弁護士法人かける法律事務所では、経営者の皆様に寄り添い、「できない理由」ではなく、「どうすれば、できるのか」という視点から、日々挑戦し、具体的かつ実践的な解決プランを提案することで、お客様から選ばれるリーガルサービスを提供し、お客様の持続可能な成長に向けて貢献します。 私は、日本で最も歴史のある渉外法律事務所(東京)で企業法務(紛争・訴訟、人事・労務、インターネット問題、著作権・商標権、パテントプール、独占禁止法・下請法、M&A、コンプライアンス)を中心に、弁護士として多様な経験を積んできました。その後、地元・関西に戻り、関西の企業をサポートすることによって、活気が満ち溢れる社会を作っていきたいという思いから、2016年、かける法律事務所(大阪・北浜)を設立しました。弁護士として15年の経験を踏まえ、また、かける法律事務所も6年目を迎え、「できない理由」ではなく、「どうすれば、できるのか」という視点から、関西の企業・経営者の立場に立って、社会の変化に対応し、お客様に価値のあるリーガルサービスの提供を目指します。
代表弁護士 細井大輔
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