
相談例
①従業員が秘密情報を漏洩したが、責任追及したい。
②秘密情報の管理を適切に行いたい。
③従業員が秘密情報を利用し、競業事業を始めた。
秘密保持誓約書とは?
秘密保持誓約書とは、従業員に対して、会社の秘密情報を厳重に管理・保管させるとともに、業務以外の目的で利用しないこと、また、第三者に漏洩・開示しないことを誓約させる書面です。秘密保持誓約書は、従業員に対して、入社時又は退職時に作成させることが一般的です。また、特定のプロジェクトに参加してもらうときに作成することもあります。
秘密保持誓約書の対象となる秘密情報には、以下のような情報が含まれます。
(1)商品・サービスの企画、設計、技術開発、製造原価、価格情報
(2)商品・サービスの提案、販売、顧客情報
(3)施設・設備情報
(4)経理・財務・経営に関する情報
(5)労務及び人事管理に関する情報
(6)業務提携先その他の他社との取引及び契約関係に関する情報
(7)子会社又は関連会社等に関する情報
情報漏洩による会社のリスク
情報化社会において、会社の秘密情報は、会社及び事業にとって重要な資産であり、秘密情報を守るための取組は急務といえます。
特に、インターネットやSNSが普及する現代社会においては、情報漏洩行為が多発しており、あらゆる企業にとって、決して他人事とはいえません。
また、人材の流動化に伴い、海外企業やライバル企業への営業秘密の漏洩は、実際に頻繁に起きています。例えば、2023年9月には、大手商社の従業員が会社が管理していた自動車の部品に関するデータや取引先の営業情報を不正に取得し、競合他社へ提供したという疑いで逮捕されたケースもあります。
さらに、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)によって、秘密情報データの流出ルートが多様化しており、漏洩リスクも高まっています。
会社の規模にかかわらず、会社の秘密情報を保護することについて、早急に取り組む必要がありますし、万が一、営業秘密の漏洩が発生した場合、被害や信用回復に向けて、適切かつ迅速な判断が必要となります。
そのためには、従業員との間で秘密保持誓約書を締結することは、必要不可欠といえます。
秘密保持誓約書がなければ、情報管理ができていないとみなされ、会社の秘密情報を守ることができません。会社の重要な情報・資産を守るためには、従業員との秘密保持誓約書は企業の事業継続及び発展のための重要な契約といえます。
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従業員と秘密保持誓約書を締結しない場合のリスク
まず、従業員と秘密保持誓約書を締結しない場合、従業員が会社の秘密情報を漏洩したり、競業事業のために秘密情報を利用したとき、従業員に対する責任追及が困難となります。つまり、責任追及のための根拠・原因について、法的正当性を確保できず、責任追及を断念せざるを得ないときがあります。
また、従業員と秘密保持誓約書を締結しない場合、秘密情報の範囲・対象が不明確となり、秘密情報の管理が適切に行われていなかったと判断され、不正競争防止法による営業秘密の保護(損害賠償請求・差止め・刑事責任)を受けることができないリスクもあります。不正競争防止法上の「営業秘密」には、強力な法的保護が認められますが、従業員との秘密保持誓約書がなければ、秘密情報が適切に管理されていないと判断され、その保護を受けることができません。
さらに、従業員と秘密保持誓約書を締結していないような会社であれば、秘密情報の管理に対する従業員の意識も低下し、秘密情報が杜撰に扱われたり、第三者への漏洩リスクが高まります。秘密保持誓約書を作成することによって、従業員に対して、会社として秘密情報の保護を徹底していることを伝えることができ、秘密情報の管理レベルのアップも期待できます。
以上のとおり、従業員と秘密保持誓約書を締結しない場合、会社の秘密情報を守ることができなくなるというリスクを経営者は理解しておく必要があります。
このようなリスクが顕在化しないためにも、従業員との秘密保持誓約書を締結するという業務フローを確立し、秘密情報の管理を徹底すべきといえます。
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秘密保持誓約書を取得すべきタイミング
秘密保持誓約書ですが、まず入社時に取得すべきです。また、特定のプロジェクトに参加してもらうときにも秘密保持誓約書を取得することもあります。
もちろん、退職時にも秘密保持誓約書を取得することを目指すべきですが、退職時の場合、秘密保持誓約書の作成に協力しない(拒否する)従業員もいます。
特に、問題社員(モンスター社員)の中には、退職時に秘密保持誓約書を作成する義務がないと主張し、その提出を拒否し、競業会社に転職したり、競業事業を自ら営む者もいます。
問題が起きてから、秘密保持誓約書を準備しても、遅いため、入社時や特定のプロジェクト参加時に秘密保持誓約書を取得すべきです。
秘密保持誓約書のに記載すべき事項
秘密保持誓約書に記載すべき事項は、以下の通りです。
①秘密情報の範囲・対象
②秘密保持義務の期間(在職中のみならず、退職後も秘密保持義務があること)
③秘密情報の適切な管理義務
④目的外利用の禁止
⑤第三者への漏洩・開示の禁止
⑥損害賠償責任
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弁護士による秘密保持誓約書へのサポート内容
弁護士は、秘密保持誓約書に関するサポートが可能です。労働法・不正競争防止法や紛争・訴訟対応に精通している弁護士だからこそ、できることが多くあります。
①秘密保持誓約書の作成
②就業規則の作成・修正
③営業秘密侵害行為に対する調査(関係者へのヒアリング、調査報告書の作成)
④労働者(従業員)に対する損害賠償請求
⑤刑事告訴手続の代行
⑥営業秘密侵害行為や不正競争防止法違反の予防に向けたコンプライアンス研修
⑦コンプライアンス違反の通報窓口
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秘密保持誓約書については弁護士にご相談を
弁護士法人かける法律事務所では、顧問契約(企業法務)について、常時ご依頼を承っております。企業法務に精通した弁護士が、迅速かつ的確にトラブルの解決を実現します。お悩みの経営者の方は、まずは法律相談にお越しください。貴社のお悩みをお聞きし、必要なサービスをご提供いたします。
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Last Updated on 2024年11月22日 by この記事の執筆者 代表弁護士 細井 大輔
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私は、日本で最も歴史のある渉外法律事務所(東京)で企業法務(紛争・訴訟、人事・労務、インターネット問題、著作権・商標権、パテントプール、独占禁止法・下請法、M&A、コンプライアンス)を中心に、弁護士として多様な経験を積んできました。その後、地元・関西に戻り、関西の企業をサポートすることによって、活気が満ち溢れる社会を作っていきたいという思いから、2016年、かける法律事務所(大阪・北浜)を設立しました。弁護士として15年の経験を踏まえ、また、かける法律事務所も6年目を迎え、「できない理由」ではなく、「どうすれば、できるのか」という視点から、関西の企業・経営者の立場に立って、社会の変化に対応し、お客様に価値のあるリーガルサービスの提供を目指します。
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