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大阪の弁護士による企業労務相談 > 企業労務コラム > リベンジ退職が発生したときの5つの法的対応~企業が取るべき実務対応とは~

リベンジ退職が発生したときの5つの法的対応~企業が取るべき実務対応とは~

よくある相談

  1. 「突然退職した社員が、顧客情報を持ち出して競合に転職した」
  2. 「退職後にSNSで会社を誹謗中傷され、取引先や求職者に悪影響が出た」
  3. 「退職願を提出したものの、引継ぎを拒否して現場が大混乱に陥った」

このような相談は、近年、経営者や労務人事担当者から多く寄せられています。リベンジ退職は一人の従業員の行為にとどまらず、企業の信用・業務・情報資産に深刻な影響を及ぼす行為です。

リベンジ退職とは?

リベンジ退職とは、従業員が職場での不満や人間関係のトラブルを背景に、「会社に仕返しをするかのように退職する」行為を指します。

単なる自己都合退職やキャリアアップを目的とした円満退職とは異なり、退職に至るプロセスや退職後の行為によって企業に打撃を与える点が特徴です。

従業員の立場からは「最後の抵抗」「声を上げる手段」と捉えられる場合もありますが、企業にとっては予期せぬ損害や混乱を招く重大なリスクとなります。

リベンジ退職の具体例5選と企業リスク

実際に見られる典型的な行為には、次のようなものがあります。

  • 情報持ち出し:顧客リストや営業ノウハウなどを無断で持ち出す。
  • 信用毀損:SNSや口コミで会社や上司を誹謗中傷し、企業ブランドを傷つける。
  • 競業行為:競合企業への転職と顧客・同僚の引き抜き。
  • 突然の退職:即日退職などで引継ぎを放棄し、業務に支障をきたす。
  • 引継拒否:退職願は提出しても引継ぎを拒否し、後任や周囲に過大な負担を与える。

これらはすべて「リベンジ退職の具体例」であり、企業にとって重大な経営リスクとなります。

リベンジ退職が発生したときの対応の必要性~放置するリスク~

リベンジ退職は一見すると個人の問題行動のように思えますが、実際には企業全体の信用・業務・情報資産を揺るがす重大なリスクです。特に「もう辞めるのだから仕方ない」と放置すれば、被害は拡大し、回復には長い時間と大きなコストが必要となります。代表的な3つのリスクを確認しておきましょう。

① 信用・ブランドの失墜

SNSや口コミの影響力は大きく、たった一つの投稿でも企業の信頼が損なわれます。取引先や顧客の不安を招くだけでなく、採用活動にも悪影響が及びます。対応を怠れば誤情報が“事実”として固定化し、信用回復のための説明や広報コストが恒常的に発生します。

② 業務の混乱と生産性低下

引継ぎ拒否や突然の退職は、納期遅延や顧客対応の停滞を引き起こし、現場に混乱をもたらします。残された従業員への負担は増大し、モチベーションの低下や連鎖的な離職につながる危険もあります。早期に代替体制を整えるなど、初動対応を誤らないことが重要です。

③ 情報漏洩・不正競争リスク

顧客リストや営業秘密の持ち出しは、競合他社に利用されれば直接的な売上減少や顧客流出を招きます。さらに個人情報や契約上の秘密が含まれる場合は、法的責任や損害賠償リスクに直結します。放置すれば証拠が失われ、差止めや損害回復の機会を逸する危険があるため、迅速な証拠保全と遮断措置が不可欠です。

リベンジ退職への対応方法(5つの法的対応)

① 事実確認と証拠収集

まずは冷静に事実確認を行い、証拠を確保します。SNS投稿やメールのスクリーンショット、システムのアクセスログ、同僚や取引先からの証言などを記録し、後の懲戒処分や法的手続きに耐え得る形で保存します。

② 社内規程に基づく懲戒処分・退職金の不支給/減額

就業規則や誓約書に違反している場合は懲戒処分を検討します。情報漏洩や引継拒否はけん責・減給・退職金減額の対象となり、悪質な場合には懲戒解雇もあり得ます。ただし処分を誤れば「不当解雇」として逆に訴えられる危険があるため、適法性の確認が欠かせません。

③ 法的措置の検討(損害賠償請求・刑事告訴)

顧客引き抜きや情報漏洩で実害が出た場合には損害賠償請求を行い、競業避止義務違反がある場合には差止請求を検討します。また、営業秘密の持ち出しは不正競争防止法違反に該当し、刑事告訴の対象となることもあります。

④ SNS対応(削除請求・発信者情報開示請求)

SNSや口コミによる誹謗中傷や虚偽情報に対しては、削除請求を行い、匿名投稿であれば発信者情報開示請求により投稿者を特定します。放置すると検索結果に残り続けるため、迅速な対応が信用回復につながります。

⑤ 再発防止策の徹底

発生後の対応は同時に再発防止のための見直しにつなげる必要があります。就業規則・誓約書の改訂、情報漏洩やSNSリスクに関する従業員研修、退職面談や相談窓口の強化など、組織的な改善を行うことで同様の事態を防止できます。

弁護士法人かける法律事務所による「リベンジ退職」対応サポート

弁護士法人かける法律事務所では、リベンジ退職が発生した際に、企業の被害拡大を防ぎ、適切に対応できるよう包括的なサポートをご提供しています。

① 事実調査・証拠収集の支援

 SNS投稿やデータ持ち出しのログ、引継拒否の記録など、後の懲戒処分や法的手続きに耐え得る形で証拠を確保します。弁護士が関与することで、証拠の有効性や適法性を担保します。

② 懲戒処分・退職金減額の適法性チェック

リベンジ退職に該当する行為が就業規則や誓約書違反であっても、処分を誤れば「不当解雇」として逆にリスクが生じます。当事務所では、懲戒処分や退職金の不支給・減額を適法に行えるようサポートします。

③ 法的措置・SNS対応の実行支援

損害賠償請求や競業避止義務違反の差止請求、刑事告訴などの法的対応に加え、SNSへの削除請求や発信者情報開示請求もサポートします。迅速な対応により、信用回復と被害拡大防止を実現します。

リベンジ退職は、放置すれば企業の信用・業務・情報資産を大きく損なうリスクがあります。当事務所は、「調査」「懲戒」「法的対応」という3本柱を実務に即した形で整え、企業の持続的な成長を支援します。

「リベンジ退職対応」や「問題社員対応」については、弁護士法人かける法律事務所にご相談ください。

「社内でどう対応すべきか分からない」「判断に迷っている」――そのような段階からのご相談も大歓迎です。

当事務所では、問題社員対応、未払い賃金請求、懲戒処分やハラスメント対応、団体交渉・労働組合対応、さらには労働審判や裁判に至るまで、企業法務・労務に精通した弁護士が幅広く実務に即したサポートをご提供しています。

まずは一度、法律相談を通じて貴社の状況を丁寧に伺い、必要な対応とあわせて顧問契約による継続的なサポート体制をご説明いたします。単発対応ではなく、長期的な視点で労務リスクを管理することが、企業の安定経営につながります。

私たちは「継続的な成長」「持続的な成長」を理念に掲げ、労務トラブルを未然に防ぎ、経営者や労務人事担当者の皆さまが安心して事業に集中できる環境を整えます。企業の持続的成長を支えるパートナーとして、弁護士法人かける法律事務所が伴走いたします。

代表弁護士 細井 大輔

私は、日本で最も歴史のある渉外法律事務所(東京)で企業法務(紛争・訴訟、人事・労務、インターネット問題、著作権・商標権、パテントプール、独占禁止法・下請法、M&A、コンプライアンス)を中心に、弁護士として多様な経験を積んできました。その後、地元・関西に戻り、関西の企業をサポートすることによって、活気が満ち溢れる社会を作っていきたいという思いから、2016年、かける法律事務所(大阪・北浜)を設立しました。弁護士として15年の経験を踏まえ、また、かける法律事務所も6年目を迎え、「できない理由」ではなく、「どうすれば、できるのか」という視点から、関西の企業・経営者の立場に立って、社会の変化に対応し、お客様に価値のあるリーガルサービスの提供を目指します。

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